概要

一般的に、トンネル工事における覆工天端部などの閉塞空間へのコンクリートの打込みは、巻込み空気・ブリーディング水が残留し、空隙の発生や強度の低下などの不具合が懸念されます。

本技術は、「排気排水機能」と「セメント系充填材注入機能」の二つの機能を兼ね備えたホースを利用した当社独自の工法です。本ホースを設置することにより、閉塞空間へのコンクリート打設時には残留空気とブリーディング水の強制排除、打設後には空隙が生じた場合でも充填材の注入が可能になり空隙を充填することができます。

これにより、コンクリートの品質向上と施工の効率化、コストの削減を図ることができます。

排気排水・注入ホース排気排水・注入ホース

特徴

1. メッシュホースとフィルターシートの組み合わせ

本ホースは、複数の開口窓を配列したメッシュホースに、セメント粒子は通さず、空気・水は通すフィルターシートを10mmラップで螺旋状に巻いたものです。

コンクリート打設時には、吸引の負圧によりラップ部の隙間が閉じ空気・水のみを排気排水し、打設後は注入圧によりラップ部の隙間が開き充填材を注入できます。

排気排水・注入ホース 構成排気排水・注入ホース 構成

2. 二つの機能を保持

コンクリート打設時に留まる空気や水を排気排水する機能と、打設後の空隙にセメント系充填材を注入する機能、二つの機能を兼ね備えています。

排気排水・注入ホース概要図排気排水・注入ホース概要図

3. 省⼒化及び経済性の向上

コンクリート打設時、従来は残留空気やブリーディング⽔の排除と充填材の充填には、それぞれのホースの設置が必要でした。本技術の活⽤により、ホース設置作業が2本から1本に削減することができるため、省⼒化及び経済性の向上が図れます。

4. 適用範囲

特に、覆⼯コンクリートの天端部背⾯などコンクリート打設箇所が閉塞空間で空気やブリーディング⽔が滞留しやすい箇所で効果を発揮します。また、トンネル以外の工種での適応も可能です。

施工手順(覆工コンクリート)

①【準備⼯-1】排気排⽔・注⼊ホース設置
・防⽔シート設置後、排気排⽔・注⼊ホースをトンネル軸⽅向に設置します。

②【準備⼯-2】妻型枠から耐圧ホースを出す
・排気排⽔・注⼊ホースに接続したテフロンブレードホース(耐圧ホース)は、妻型枠上端に設けた切⽋き部から出します。
・⽚⽅のテフロンブレードホース(耐圧ホース)には真空ポンプを接続し、もう⽚⽅は折り曲げて閉塞させておきます。

③【打設⼯】残留空気・ブリーディング⽔の排除
・セントル天端部からの吹上げ打設開始後、真空ポンプで吸引し、残留空気やブリーディング⽔を排除します。

④【充填⼯】セメント系充填材の充填
・コンクリート打設後、テフロンブレードホース(耐圧ホース)にグラウトポンプを接続し、セメント系充填材を注⼊します。

適応事例

対  象:九州地方整備局 立野ダム仮排水路工事の覆工コンクリート
     支保パターンDⅠ(覆工厚30cm、スパン長10.5m)
設置方法:排気排水・注入ホースとテフロンブレードホースを下図のように設置。
施工状況:コンクリート打設時の空気やブリーディング水の排気排水が良好に行え、打設後の覆工背面空隙へのグラウト注入も良好に行えることを確認。

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