概要

CELBIC(セルビック:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete)は、循環型社会の形成と地球環境問題の改善に寄与することを目的とし、建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減する環境配慮型コンクリートです。
一般のコンクリートと同様に、日本産業規格におけるJIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に適合するコンクリートとして製造・出荷が可能です。
CELBICは、当社とゼネコン13社(長谷工コーポレーション(幹事)、淺沼組、安藤ハザマ、奥村組、熊谷組、鴻池組、五洋建設、錢高組、鉄建建設、東急建設、東洋建設、矢作建設工業)で構成するCELBIC研究会で研究・開発を行いました。製造・出荷および施工はCELBIC研究会の構成会社のみ対応可能です。

特徴

二酸化炭素の排出量を削減

CELBICは、セメントの代替として高炉スラグ微粉末を使用したコンクリートです。高炉スラグ微粉末は、製鉄所の高炉における製銑の際に副生されるスラグを微粉砕したもので、水硬性を有しています。高炉スラグ微粉末の製造過程における二酸化炭素の発生量は、ポルトランドセメントの1/20以下になります。CELBICでは、この高炉スラグ微粉末をセメントの10~70%に置き換えることで二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減することができます。

3種類のCELBICを適材適所に

CELBICは、高炉スラグ微粉末の使用率により、A種クラス、B種クラスおよびC種クラスの3種類に分類されます。このうち、A種クラスは普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートと、B種クラスは高炉セメントB種と類似した性能を有し、C種クラスでは適用箇所が限定されるものの、60%以上の二酸化炭素の排出量を削減することができます。加えて、これら3種類のCELBICでは同一の高炉スラグ微粉末を用いることから、生コン工場での材料管理の負担軽減も図れ、各種類の特長を生かした建築物への汎用的な適用が期待されます。

CELBICの種類 高炉スラグ微粉末の使用率(質量%) 二酸化炭素排出量の削減率(%) 適用部位・部材
A種クラス 10以上30以下 約9~28 地下および地上構造物
B種クラス 30を超え60以下 約18~51 地下および地上構造物
C種クラス 60を超え70以下 約53~63 地下構造物または直接外気と接しない部位・部材かつ、厚さが200mm以上

CELBICの種類と高炉スラグ微粉末の使用率、二酸化炭素の削減量および適用部位・部材

開発実験による検証

開発実験では、国内で主に流通している数種類の高炉スラグ微粉末を用いて、様々な条件におけるコンクリートの強度発現性・耐久性を確認し、高炉スラグ微粉末の使用率に応じた基本性能について検証しました。この結果を基に、工場の選定やコンクリートの調合設計の方法を定め、実際の生コン工場においてCELBICの製造および実際の部材を想定した施工検証を行い、CELBICの調合設計・施工マニュアルを整備しました。

開発実験で作製した模擬部材試験体の様子
開発実験で作製した模擬部材試験体の様子

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