概要

 従来、仮設山留め壁として用いられているソイルセメント柱列壁を高強度のソイルセメント改良体に芯材を建て込むことによって建物を支持する本設の地盤改良体とするソイルセメント改良体(PSP: Permanent Soil Cement Mixing Pile)工法を改良し、適用範囲を拡大したPSPⅡ工法を開発しました。

特徴・メリット

  • 1.工期短縮

     山留め壁と建物外周部の杭を兼用できることによって基礎工事の工期短縮を図れます。

    2.コストダウン

     山留め壁と建物外周部の杭を兼用することによって建設コストの低減を図れます。

    3.環境保全

     仮設材である山留め壁の応力材を本設利用できることから、建設資材の削減が図られ、環境保全に寄与することができます。

施工手順

    1. 支持層まで削孔してソイル改良体を構築
    2. 先端部は富配合のソイルセメントとし十分な攪拌を行う
    3. 構造物の荷重をソイルセメントおよび地盤に伝達するための芯材(H形鋼、I形鋼)の挿入性を確保する
    4. 建物の荷重はまず芯材へ、さらに芯材とソイルセメントの付着力および芯材先端部に設置した頭付きスタッドと芯材先端面よりソイルセメントへ、最後にソイルセメントから周面摩擦力および先端支持力により周辺地盤に伝達する

地震時の引抜き荷重に適合するPSPⅡ工法を展開

  •  従来の押込み荷重に対する設計に加えて、引抜き荷重に対してのみ、あるいはその両方の荷重に対して設計できるような設計手法・施工方法を確立することで適用範囲を拡大しました。実大の引抜き試験により地震時の引抜き荷重に対する構造性能を確認し実用化しました。
     引抜き抵抗は押込み側の軸力よりも荷重が小さい場合が多いため、引抜き抵抗のみに利用する場合は、ソイルセメントを冨配合にした先端部を省いた構造としました。ソイルセメントの強度は押込み時よりも低い標準配合を用意しました。

    (左)PSP工法、(右)PSPⅡ工法

PSPⅡ工法の効果

  •  地震時の引抜き荷重が作用する地上9階、地下1階の建物で設計した場合、地盤アンカーを設置して地震時の引抜き荷重に抵抗させる方法に比べ、工期を約10%短縮、コストを約10%削減できることを確認しました。

現場施工試験による性能確認

  •  2003年に、深さ 8m(一般部 5m +先端部 3m)、施工径 550φ、続いて17.5m(一般部 14.5m+ 先端部 3m) 施工径 650 φ、900 φの施工性確認試験を、さらに別の(載荷試験を行う)試験場で施工深さ 33.5m、施工径 650 φの施工性確認試験を行いました。
     その結果、すべての試験体で設計基準強度は目標強度を満足し、かつ強度のばらつきも小さく、PSP工法が深層混合処理工法と同程度の品質が確保されていることを確認しました。

     さらに2018年に、PSPⅡ工法の開発のため、施工径が650φの実大PSP体に対し引抜き試験を行い、地震時の引抜き荷重に対する構造性能を確認しました。また、ソイルセメント改良体の施工試験を行い、均質性や強度など、引抜き荷重が作用する場合の要求仕様に対し、所定の品質が確保できることが確認されました。

建築技術性能証明を取得

  •  

     PSP工法の適用範囲の拡大を目的に共同研究会*1)で検討を重ね、押し込み荷重が作用する場合に加えて、地震時に引抜き荷重が作用する建物に適用する建築技術性能証明(第02-22号 改)を2020年3月25日付で (一財)日本建築総合試験所より取得しました。

     

    *1)構成会社:青木あすなろ建設㈱、㈱安藤・間、㈱奥村組、㈱鴻池組、五洋建設㈱、鉄建建設㈱、戸田建設㈱、西松建設㈱、㈱松村組

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