概要
レンズダンパーは、一枚の鋼材板中央部の両面に凹型レンズ形状の加工を施した鋼材ダンパーです。 S造・RC造の新築建物および耐震改修に適用できます。 地震による建物の変形を抑制し、繰り返しの大地震にも継続して建物を使用できるものです。 さらなる制震性能の向上のため、製品の改良改善と応用技術の開発、広報活動を「レンズダンパー推進協議会」※を中心に行っています。
※当社、株式会社ダット(事務局)、飛島建設株式会社、鉄建建設株式会社、西松建設株式会社、他計7社で構成
※レンズダンパー推進協議会ホームページ>>https://www.lens-damper.com/
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特徴・メリット
- 従来の鋼材と比較して優れた伸び性能を持つ低降伏点鋼材(LY225)、あるいは建築構造用Fe-Mn-Si系鋼材(FMS合金)を採用することで、高いエネルギー吸収性能と耐久性能を有します。
- レンズダンパーは一枚板を削るだけのシンプルな構造で、他の制震装置と比較して、コンパクトな形状のため、外壁、内壁を問わずフレキシブルな設置が可能です。
- 間柱型で取付けるため、一般的なブレース型のように開口部を遮りません。
- レンズダンパーの接合は溶接を用いないボルト接合のため取付が簡単です。そのため工期も短くコストも抑えることができます。
- 大地震後は目視による点検で損傷度合を簡単に確認でき、金属のみのシンプルな構造のため、交換が必要となっても簡単に交換できるため、ローコストで復旧できます。
- 既設ビルの耐震化工事では、現在入居中のテナント様や入居者様の居ながら施工が可能で、引っ越しや家賃保証などの負担が軽減されます。
レンズダンパーの取付状況(S造間柱)
レンズダンパーの性能
鋼材に従来の鋼材と比較して優れた伸び性能を持つ低降伏点鋼材(LY225)、建築構造用Fe-Mn-Si系鋼材(FMS合金)を採用することで、高いエネルギー吸収性能と耐久性能を有します。
凹型レンズ状に切削加工を施すことにより、地震による繰返しの変形に対して、ひずみと応力が一部に集中することなく、パネル全体に分散させることができ、効率よく地震エネルギーを吸収します。
下図は左方向から押されたときの凹レンズ形状の有無による応力状態の違いを色で表しています。凹レンズ形状なしでは、フィレット部にひずみが集中していますが、凹レンズ形状ありではひずみがパネル全体に広く分布されていることが解ります。
比較実験の結果:(左)凹レンズ形状なし、(右)凹レンズ形状あり
RC造への展開
RC造にも適用させるため、3種類のRC造間柱への取付構法を考案し、北嶋圭二日本大学教授の指導のもと実大試験体による構造性能確認試験で制震効果を実証しました。
- 「PC鋼棒型」:RC造間柱のひび割れを抑制するため、PC鋼棒による軸力導入を採用。
- 「アンカーボルト型」:免震部材の取付け部などに採用されるアンカーボルトを用いて取付。
- 「嵌込み型」:下RC造間柱の隙間を極力無くすため、レンズダンパーの薄い形状を生かし、RC造間柱中央部に嵌込む。
※特許登録済「制震構造物」(第6791818号、登録日:2020年11月9日)
RC造間柱への取付構法:(左)①PC鋼棒型、(中央)②アンカーボルト型、(右)③嵌込み型
青木あすなろ建設 レンズダンパー パンフレット
最終更新日:2024年10月19日
実績とラインナップ、詳しい説明は、こちら
構造性能評価の取得情報
2022.03.25
評価番号ERI-K21006:新材料を用いた「レンズダンパー🄬」
青木あすなろ建設ニュースリリース(2022.09.02)
2014.03.31
評価番号ERI-K13017:レンズ型せん断パネルダンパーを用いたS造事務所ビルのエネルギー法による試設計
構造性能評価PDF(562KB)