概要

 都市部の建設現場に多い既存建物の解体を伴う新築工事では、前構造物の既存杭を撤去した跡に新設杭を施工するケースが増えています。既存杭と新設杭が平面的に干渉することも多く、その場合は既存杭を撤去した後、埋め戻しが行われます。しかし、既存杭の埋戻し部の品質が確保できないと新設杭の施工に支障を及ぼす可能性があります。
 そこで、品質管理された埋戻し工法として循環撹拌を用いたケーシング縁切引抜工法を、16社*1)の共同研究により開発しました。

*1)「既存杭引抜き処理工法研究会」(16社)※順不同
青木あすなろ建設、淺沼組、安藤ハザマ、奥村組、熊谷組、鴻池組、五洋建設、西武建設、髙松建設、東急建設、戸田建設、飛島建設、西松建設、長谷工コーポレーション、ピーエス三菱、松村組

特徴・メリット

  • 従来工法の課題

    一般的な杭の撤去方法である縁切引抜工法の埋戻し過程での3つの課題

    1. 撤去に時間を要し注入したセメントミルクが杭撤去の途中で硬化してしまう
    2. エアリフト撹拌では土塊によるエアリフト管の閉塞が問題となる
      また、機械撹拌やエア撹拌では泥水と埋戻し材が十分撹拌できないことが多い
    3. 撤去孔に溜まった泥水の性状は不明確かつ不安定で一定の強度を得られない恐れがある
  • 課題を解決する循環撹拌工法

     既存杭引抜き時に注入する埋戻し材をベントナイト水(BM)として孔内のBMと泥水を循環撹拌し、そのベントナイト泥水(B泥水)の密度を測定します。測定結果により目標強度に応じたセメントミルク(CM)の添加量を決定します。杭撤去後の埋戻し部へのCM注入をスパイラルオーガーによる機械撹拌を行うことで、標準的なケーシング縁切引抜き工法よりも品質管理された埋戻し部を構築することができます。

循環撹拌を用いたケーシング縁切引抜工法の手順

効果の検証

  •  2021年に、杭径550mm、杭長14.5mの既存杭(既製コンクリート杭)に本工法を適用した施工実験を茨城県猿島郡境町で実施しました。
     埋戻し部の調査の結果、本工法により既存杭撤去後の埋戻し部は均一化され所要の強度を有し、循環撹拌工法による既存杭引抜き処理の有効性が確認できました。

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